ユウト6日目①

タカシに河川敷まで送ってもらい帰ってきた
もう次の日になっていた

家は真っ暗で帰ってきたくなかった俺には好都合だった

風呂に入り寝ようとするがアイの事が心配で心配で寝れない
これからどうするべきかを考えていた

寝れないまま朝方を迎えた時に吐き気を覚えた
気のせいか?と思ったが
しかし気分は悪くなる一方でとうとうトイレに駆け込んだ

嘔吐した
一回嘔吐しただけでは気分は戻らず何度も何度も嘔吐する
そのうち下痢も始まった

トイレから離れられない

俺がバタバタしていたので美香がさすがに起きたのかトイレにきた
『ちょっと朝方に何やってんのよ!
それよりも帰ってくるの何で遅かったのよ!!
えっ?ちょっと‥もしかして吐いてる?
はぁ?まさか下痢も?
えっ?意味分かんないんだけど?』

話すのもキツイ俺は黙っていた

『ちょっとそこから出ないで!!!』
美香はそう言うとトイレから離れゴソゴソしている

そして
ヒロト連れてあんたが治るまで今から実家帰るから。
あっ!家中除菌しといてね!
それと食材勝手に使わないで!自分でどうにかして!
それと毎日掃除もしといて!
お給料減ったら困るから仕事には元気なふりして行くようにして!じゃぁ帰るから。』
スーツケースに荷物を詰めて出ていった

もうどうでもいい
アイ以外のことなんて考えても仕方ない

とにかく吐いた
吐くものがなくて胃液しか出なくても身体は吐くことを辞めない

そこから動く力もない俺はいつの間にか眠りにおちてしまっていた

6日目②

マナミにアパートまで付いてきて貰い着替えた
一人になるのがまだ怖い
2、3日実家に帰ることにしたためその荷物もまとめた

地元のショッピングセンターに向かう
ユウトからまだ連絡がない

ショッピングセンターは色とりどりに飾られたチョコレートが山積みになっている

【これだけあると目移りしますね〜
自分の分も欲しくなっちゃいます】
はしゃぐマナミ

『はしから見ていこうか』

二人で一つ一つじっくり見ていく
これは可愛い、あれは大人っぽい、これは高いだの
言いながらは楽しくて
私もユウトヘのチョコレートを探すのは昨日の事を忘れさせてくれた

マナミはすでにカゴにいっぱいで
『いっぱい買うんだね』

【これが父のでこれは義理父、これが旦那と義理兄二人、甥っ子に娘の分と自分のです。
でも〜肝心の長浜くんのが決まらなくて‥
井上さんは決まりましたか?】

『私も父のは決めたんだけど‥』
私も決めかねていた

売り場をようやく半分ぐらいきたところで目に入ってきたチョコレートがあった

有名なブランドのチョコレートで
手のひらサイズの7色の7つの小箱
二段のキューブ型ボックス
近くで見るとそれぞれの色に異なる7つのメッセージ

ピンク【成功・合格】目標を目指して頑張ってる人に
パープル【幸運・守護】心から幸せになって欲しい
ブルー【感謝】感謝の気持ちを形にして
グリーン【幸福・健康】幸運のお守りとして
イエロー【夢の実現】豊かな未来を祈って
ブラウン【尊敬・感謝】日頃感じている尊敬の気持ちを赤【愛情・感謝】一番大切なあの人のために


迷わず赤をとった
‘’一番大切なあのひとのために‘’

上段にはメッセージをプリントしたカード型チョコ
下段には赤いハート型のチョコ2つのプレーンチョコ
ガナッシュ入りのハートのプリントチョコ
そしてこのシリーズのロゴ入りハート型チョコ

『私これに決めたよ』
【めっちゃ可愛いですねコレ!!
長浜くんのどうしよ〜】

まだまだ決まらないマナミに
『そろそろお昼にしない?
お腹空いたでしょ?』

【もうそんな時間なんですね!でも井上さん食べれますか?】
正直まだお腹は空いてない
私は食品コーナーで軽めのサンドイッチを買い
フードコートに行くことにした

その前にトイレに寄りたくてマナミに先に行ってもらうことにした
トイレもすまし出たところで電話がなった

画面には愛しい人の名前
”ユウト”

『もしもし!』
急いで出る

‥あっ!もしもし‥あの‥オレ‥

6日目①

目が覚める
一瞬どこだか分からない


コーヒーの良い香りが漂っている
ちょっとずつ頭が冴えていく


そうだ!私‥昨日‥
どんどん思い出す


あたりを見回し枕元に自分のバッグを見つけるとすぐさま携帯を取り出す
お知らせ点滅が光っておりユウトからの着信とL○NEが届いていた


すぐさま電話をかけるが出ない
L○NEにメッセージを送りユウトからの連絡を待つことにした


起き上がり布団を出て扉をあけコーヒーの香りがする方へ行ってみる
【あっ!おはようございます。気分どうですか?】
ここはそうだマナミの家だ
昨夜の事が更に蘇る。


『おはよう。すごく良く寝たよ。
おかげさまで体調も悪くないかな。』

【良かったぁ〜。お腹すきませんか?】
そう言えば何も食べてない。
お腹は正直だ何か欲しいと鳴き出す。


【ふふふじゃあ何か作りますね。
お風呂入ってきてくださいね。】

『ありがとう借りるね。』
少し口の中が痛い。
体調は思ったほど悪く思わない。
けど今は何もしたくない。
甘えさせてもらうことにした。


温かいお風呂は身体の隅々と心まで温めてくれる。
ホっとすると鮮明に怖かった昨日を思い出す。


『ユウト…会いたい…』
今すぐ会いたい抱きしめてほしい‥
涙が溢れる


お風呂から出ると直ぐさま携帯を見てみる。
ユウトからの連絡はまだない


【井上さん食べましょう。きっと連絡入りますよ!】
うどんを作っていてくれた
口の中を切っていることを知っているのだろう
あまり熱くないうどんが凄く美味しかった。

【顔の腫れおさまりましたね】

『ほんとにありがとう。
急にビックリしたでしょ?』

【はい。
まさかあの小川がそこまでするとは考えてもいなかったからビックリどころじゃなかったですよ。
でもユウトさんの井上さんを想う気持ちにも更にビックリしました。
井上さんの事すごくすごく心配してて‥
いっときもそばを離れなくて‥
愛されてるってこういう事を言うんだなって‥
見てて何だか泣いちゃいました
ユウトさんがいてくれたら井上さんは何も心配いらないなって‥】

『‥ほんとにマナミがいてくれて良かった
マナミに話してなかったらどうなってたんだろうと思うと、ユウトもきっと凄く感謝してると思う。』

私は恵まれてる愛する人がいて大切な友達がいて‥
涙がこみ上げる

【井上さん‥グスッ‥泣かないで‥グスッください‥
私まで‥泣けて‥きちゃいます‥
あっ!そうだ!!井上さん!
もし体調が悪くなかったら今日バレンタインのチョコ買いに行きませんか?
長沢くんにあげたいんです!
井上さんもユウトさんにどうですか?
一緒に選びましょう!!】

『そっか‥バレンタインがあるんだ‥
うん‥そうだね‥買いに行こうか!』

一人でいたら昨日の事を思い出してしまう
ユウトの事を想いながらユウトに何かを選ぶ
それが今の私にはどんなに心強いか‥

【じゃあ膳は急げです!
用意していきましょ!!】

ユウト‥
早く声をきかせて

ユウト5日目③

「タカシ、何から何まで本当に済まない」
迎えにきてくれたタカシの車に乗った

今日の事を詳しくタカシに話し
「タカシ、そう言えばこの男に心当たりがあるって言ってたな」

【その男を直接知ってる訳じゃないんだけど…小川って名前を聞いたことがあるような気がして調べたんだ】

タカシが言うには…
タカシの先輩が小川が住む○○町の板金塗装で働いているらしくそこに小川が車を車検に持ってきた

車検が終わっても代金を払ってない小川に何も言わずにいたらしい
【地元の小さな会社だからな社長も強くは催促しなかったんだろうな】
そこでタカシの先輩が催促をする事になったのだが車検代だけではなく、今までにも車の修理やタイヤの交換代などを払ってなかったらしい

そんな小川を放置していた社長も社長だが、とにかく期限日までに払うように催促したが払わない
その後も何度も何度も催促したが払わないのでつい最近警察に届けたらしい

【…っていう話をつい最近先輩から聞いてたから小川って名前に引っかかったんだよ】

俺は小川の写メをタカシに見せた
【この写メ送って貰っていいか?先輩に確認してみるから】
小川と小川の車の写メを先輩に送ったタカシ

すぐさまタカシの携帯に連絡が入る
【やっぱりこの男に間違いないよ】

「そうか…このまま小川が引き下がると思えないしアイの事をどうにか考えないとな」

【それにしてもアイちゃんがお前達のことを友達に話をしてて良かったな】

「うん本当に。タカシの助言に今回助かったよ。
ありがとうな」

【またいつでも力になるよ】

「今は申し訳ないんだけど頼ることばかりになるかもしれない」

タカシにはこれからももっと助けられる事になる

「落ちついたら何かお礼をさせてくれ」

【じゃあまた飯でもおごってくれよ!
それより早くどうにかなるといいな】

タカシの言葉通りに小川が早くどうにかなるのには時間がかからなかった

ユウト5日目②

プルルル〜♪
…頼む!出てくれ!!

【はいもしもし!お疲れ様です!】
明るく元気な声

…良かった出てくれた…
「あっ!もしもし…あの急にすみません…
俺…ユウトっていいます。
アイから話しを聞いてると思うんですけど…」
電話を掛けた先はマナミだった

【…?…んっ?…ユウト…さん?
ってあのユウトさん??
コレって井上さんの携帯ですよね?
えっ?井上さんに何かありましたか??】

俺は今の状況を説明しどうしたらいいのかと相談した
マナミは旦那が夜勤で居ないから家にきてくださいと提案してくれてた
今の俺達にとっては非常にありがたかった

アイの車にまだ目が覚めないアイを乗せマナミの家に急いだ

マナミの家の近くに行くと、マナミであろう可愛らしい女の人と目がクリッとした可愛い女の子が立っていた

「マナミちゃん…?」
【ユウトさんですね!初めまして!】
深々と頭を下げてくれる

マナミに案内されアイを抱えて家に入る
まだ新築であろう綺麗な水色の外壁の家
客間らしき部屋に布団を引いていてくれた
部屋も暖かくようやく俺も落ち着いた

【頬…腫れてますね…井上さん可愛そうに…】
冷たいタオルで頬を冷やしてくれる
そして俺には温かいコーヒーを入れてくれた

「ありがとう…急に申し訳ないと思ったんだけど…
今の俺達にはマナミちゃんの存在は非常にありがたい
コーヒー頂きます」
温かいコーヒーは冷えた身体を芯から温めてくれた

【いえ!大好きな井上さんと井上さんの大事なユウトさんは私にとっても大事なんですよ!
でも…何でこんな事に……】

「マナミちゃんこの男知ってる?」

【あっ!!!コレッ…!
小川っていういつもの常連客ですよ!!
やっぱり井上さんを狙ってたんだ!!】

俺は昼間の事を聞いた
【小川のやつ!!許せない!!】
怒りを露わにしながらマナミは子供を寝かしに行った

俺はタカシに連絡し事情を話し迎えに来てもらうことにした
快く引き受けてくれるタカシが小川という男に心当たりがあるという

詳しく話を聞きたかったがどうやらアイが目覚めたみたいで電話を切った
まだ何となくうつろなアイ

子供を寝かしつけたであろうマナミが様子を見に来てくれた
何故マナミが居るのか分からないアイに
アイの携帯でマナミにかけたことを説明しマナミの提案に甘えた事を話した

すると大粒の涙を流すアイ
俺に手を伸ばす
強く強く抱きしめてやる

怖い思いをさせてしまった
アイの涙が後から後から溢れてくる
  
アイは何があったかを詰まりながらも全部話してくれた

あんな暗い場所を待ち合わせ場所にした俺が悪いんだ…
アイに会える嬉しさだけしか考えてなかった

明日からの事は俺がちゃんと考えようと今日はマナミの家に泊まることにさせてもらった

結局俺は何をしてやれるんだ?
こうやって抱きしめることしかできないのか?

「…アイ…ゆっくり休め…」

また眠りにつくアイに
「…愛してる…」
想いを伝えるだけしが出来ない俺…

何をやってんだ俺は…

ユウト5日目①

今日はアイに会えると思うと不思議な事に仕事がはかどる

加藤さんも復帰したみたいだし今日は定時にあがっていいと社長に言われた

『良かったなユウト!
今日はアイちゃんに早く会えるな』

「そりゃタカシが残業に付き合ってくれた事が大きいよ。
本当に感謝してるよ」

『まっ、また惚気話でも聞かせてくれよな』

「了解」



アイに定時に終わる事を連絡し片付けも早々と終わらせた

‥さてと行きますか!
車を河川敷に走らせる

‥アイが先に来てそうだなぁ
アイがいつも車を止めてある場所の近くに車を止める
アイの車を覗くがエンジンがかかったままいない

‥どこに行ったんだ?
河川敷は真っ暗でよく目を凝らして周りをみる
土手を走る車のライトで人が見えた

‥んっ?
人が人を担いでる?
何をして‥‥えっ?!‥‥!!!!!

「‥‥アイっ!!」
まさしくアイが担がれていた
俺は慌ててそばに走っていきアイを担いでいる男の腕を掴んだ
こっちを見た男は五十代ぐらいだろうか?
見たことがない男だ

アイは気を失ってる
「アイに何をした!アイを離せっ!」

するとその男はフッと笑い
【‥あー‥最近アイの周りでウロチョロしてるやつだな】
アイと呼び捨てにする男‥何者だ?

「アイをどこに連れていくんだ」

【どこ‥って‥自分の女をどこにつれて行こうがお前には関係ねぇよな】

「はぁっ?お前の女だと?」
掴んだ腕に力をいれた

【アイタタた。そうだよ俺の女。
最近お前に近寄ってこられて迷惑だって言ってたから、今日ハッキリさせようと思ってね。】

「嘘をつくな!」
俺は怒りが込み上げて更に掴んだ腕に力が入る

【離し てくれる?
バツイチのくせに40にもなって若い男に入れあげてさぁ…お仕置きをしようと思ってね】

そう言うと担いでいたアイをその場に投げ捨てた

「アイっ!!!!」
俺は駆け寄りアイを抱き上げた

その瞬間"ドカッ"
「うっ‥‥!!‥‥っつ!」
背中に激痛が走る
どうやら思いっきり蹴られたらしい

「何を‥‥っ!!!」
もう一度蹴られた俺は完全にキレた
話してすむ相手じゃないことを悟り、アイを少し離れた場所で寝かせた
よくみると口から血が流れている
「アイ‥可愛そうに‥ちょっと待っててくれよな」
来ていたダウンを脱ぎアイに掛けてやる

俺は振り抜き一目散に男に向かって走り出し思いっきり殴った
相手も抵抗しようと殴り返してくるが今の俺の怒りは半端な物じゃない
我を忘れて殴って殴って殴り倒していた

この男もさすがに俺がこんなに殴ると思わなかったのだろう
自分には敵わないとでも思ったのだろうか
最後には【すみません】と土下座した

しかしアイが殴られた事に怒りが収まらない
更に胸ぐらを掴み殴ろうとしたがアイを早く暖かい場所に連れていってやりたかった

「おまえの名前は」

【小川です。すみませんでした】
震えた声でまた土下座した

「何でアイを知っている!」
小川はアイを職場で見た時に一目惚れし買い物に通った。
毎日買い物に通った事でアイに覚えてもらい会話するようになった。
まだその頃のアイは結婚していたので話が出来るだけで良かった。
しかし段々自分の気持ちが大きくなり抑えられなくなり遂に探偵まで雇ってアイの事を調べた。
するとアイが離婚した事を知りそこからストーカーまがいの事をし出した。
今日もアイの事を付けてきたら誰もいない河川敷で一人になったのでチャンスだと思ったらしい。

「免許証だせ」
免許証を出す小川。
すかさず免許証と小川と小川の車の写メをとり

「次は携帯を出せ!!」
素直に出す小川。
案の定アイの隠し撮りがビッシリだった。
俺はそれも写メし消させた

「さっさっと俺らの前から消えろ!!
二度とアイに手を出すなっ!!」

「どうもすみませんでしたっ」
もう一度土下座し逃げ帰る小川。

俺はアイの元へ駆け寄り抱き上げる。
いくらダウンを掛けていたとはいえ真冬の夜の河川敷
身体が冷えきっていた。

しっかりと抱き締めアイの車に乗り込む
ヒーターの掛かった車内、俺と飲もうしてくれていたであろうコーヒーとミルクティーはぬるくなっていた。

アイを寝かし近くの水道でタオルを濡らしアイの頬に当てる。
「すまないな…アイ…こんなにさせてしまって…」
またギュと抱きしめてやる

しばらくそうしていたがアイは目をさまさない
「…さて…どうしたら…」
このままの訳にもいかないしアイのアパートもハッキリとどこかは分からない。

しばらくどうするかを考えていると
「あっ!そうだ!」
俺はアイのバッグから携帯を出し電話をかけた

5日目③

何となくフワッと身体が浮いたような気がして意識が戻ったがまだ朦朧としていた

うっすらしか目が空かない
頬がジンジンする
どうやら抱き抱えられているようだ
暖かかくて心地よくてユウトに抱かれているんだとすぐに分かるとまた意識がなくなっていった

‥ユウト来てくれたんだね‥‥



どれぐらいたったのだろう‥‥
『‥‥んん‥‥』
うなされて目が覚めた

見たことがない天井
暖かい布団
どこかに寝かされているようだ

横をみるとユウトが電話をしていた
ユウトが気付き
「アイっ!!アイが目覚めたみたいだ
タカシ悪いけどお願いしてもいいいか?
また近くになったら連絡くれ」

電話を切り急いでこちらに駆け寄ると
「大丈夫か‥?頬は痛むか‥‥?」
優しく頭を撫でてくれる

頬が冷やされているのか冷たくて気持ちがいい
『‥‥ううん…冷たく…て…気持ち…いい…』
口の中を切ったのか喋りにくく少し血の味もする

【井上さんどうですか?】
部屋にマナミが入ってきた

『…マ…ナミ…?』
なぜマナミが…?

【井上さん良かったぁ~目が覚めたんですね!
何か飲みますか?】

「ここマナミちゃんちなんだ。俺がマナミちゃんに連絡した。
アイの携帯すまなかったが勝手に見て連絡した」

私はユウトとマナミの顔を見た事で安心しその途端涙が溢れた

「…!どうした?どこか痛いか?」
首を横にふりユウトに手を伸ばした
マナミがいるのも構わずユウトは抱きしめてくれた

『…こわか…った…グス…』
涙が後から後から溢れてくる

「もう大丈夫だよ。すまないな俺がもっと早くに行ってやれば…」
しっかりと抱きしめてくれる

『違う…の!…私が悪い…の…』
私は何があったかを詰まりながらも全部話した

マナミも涙を流して聞いてくれている
『マナミが忠告…してくれたのに…ごめんね…』

【何言ってるですか!井上さんは何も悪くないですよ!!】

『…よく考えたら…
何で…私の車を知ってたのか…もし偶然知ってたとしても…何で私が乗ってるって分かったのか…
あの場所に…普通に居る事が可怪しいのに…
知ってる人だから…って油断してた…』

「もう何も言わなくていいよ。俺がいるから大丈夫だから」

【井上さん今日はうちに泊まってください!!
旦那夜勤で居ないし明日は私も井上さんも仕事休みだし一緒に寝ましょうね!】

アパートに一人で帰るのは怖い
かと言って腫れているであろう顔で実家に帰ることも出来ない

マナミに甘えることにした
『マナミ…お願いするね…ありがとう』

「明日からの事は俺が考えるから今日だけはマナミちゃんに甘えろな」

マナミが気をきかせて部屋から出て行ってくれた
ユウトがおでこに優しく口付けた
そして目にも…
最後に口に軽く口付けると私を布団に寝かせてくれた

「…アイ…ゆっくり休め…」
手を握って頭を撫でてくれる
気持ちが良くて眠気が襲ってきた

眠りにつく寸前にユウトの
「…愛してる…」
を子守唄に眠りについた