1日目②

…あれっ?このお客様…前にも買い物来てたよね?


『ハンドクリームですね?こちらです』
私は彼を連れてハンドクリーム売り場まで案内した


一日に何百人ものお客様の中で何故覚えていたのかというと
私の好きなプロ野球選手に目がソックリだったから

可愛いクリッとした大きな目に有名なタレントさんに輪郭や口元が似ていてカッコイイなと思っていた

背も175~180ぐらい
何かのスポーツでもしているのか
服の上からでも鍛えられているのが分かる筋肉

目を引く

…確か…
前は奥さんとかわいい男の子供さんといたはずだ

「仕事でアルコール使うので手がボロボロで…」
彼は手を見せてきた

確かにヒビに赤切れ皮がむけて濃い青の塗料のようなものが薄っすらついている


『かなり痛そうですね…
もしかして車の塗装とかのお仕事ですか?』

「えっ?!何で分かるんですか?
そうなんです。
車の塗装の仕事してるんですよ」

『塗料のようなものもついてるし、
他のお客様で同じ仕事をされてる方からも相談された事もありますので…これとかいかがですか?
手をお借りしますね』

私は彼の手をとり治療も出来るハンドクリームを塗ってあげた

『一生懸命頑張ってる職人さんの手ですね
格好いい手ですね!』

素直にそう思った
大きくて温かい手
綺麗に切られた丸い形の爪
男らしい手

塗りながらマッサージもしてあげた

「こんな汚い手なのにそんな風に言って貰ってありがとうございます
そんな事言われたことないから何だか照れるなぁ…」

少しはにかんだ彼は可愛くてドキッとした

私はもう片方の手もマッサージしようと手にとった時に

「キレイですね」
と彼は言った