ユウト5日目②

プルルル〜♪
…頼む!出てくれ!!

【はいもしもし!お疲れ様です!】
明るく元気な声

…良かった出てくれた…
「あっ!もしもし…あの急にすみません…
俺…ユウトっていいます。
アイから話しを聞いてると思うんですけど…」
電話を掛けた先はマナミだった

【…?…んっ?…ユウト…さん?
ってあのユウトさん??
コレって井上さんの携帯ですよね?
えっ?井上さんに何かありましたか??】

俺は今の状況を説明しどうしたらいいのかと相談した
マナミは旦那が夜勤で居ないから家にきてくださいと提案してくれてた
今の俺達にとっては非常にありがたかった

アイの車にまだ目が覚めないアイを乗せマナミの家に急いだ

マナミの家の近くに行くと、マナミであろう可愛らしい女の人と目がクリッとした可愛い女の子が立っていた

「マナミちゃん…?」
【ユウトさんですね!初めまして!】
深々と頭を下げてくれる

マナミに案内されアイを抱えて家に入る
まだ新築であろう綺麗な水色の外壁の家
客間らしき部屋に布団を引いていてくれた
部屋も暖かくようやく俺も落ち着いた

【頬…腫れてますね…井上さん可愛そうに…】
冷たいタオルで頬を冷やしてくれる
そして俺には温かいコーヒーを入れてくれた

「ありがとう…急に申し訳ないと思ったんだけど…
今の俺達にはマナミちゃんの存在は非常にありがたい
コーヒー頂きます」
温かいコーヒーは冷えた身体を芯から温めてくれた

【いえ!大好きな井上さんと井上さんの大事なユウトさんは私にとっても大事なんですよ!
でも…何でこんな事に……】

「マナミちゃんこの男知ってる?」

【あっ!!!コレッ…!
小川っていういつもの常連客ですよ!!
やっぱり井上さんを狙ってたんだ!!】

俺は昼間の事を聞いた
【小川のやつ!!許せない!!】
怒りを露わにしながらマナミは子供を寝かしに行った

俺はタカシに連絡し事情を話し迎えに来てもらうことにした
快く引き受けてくれるタカシが小川という男に心当たりがあるという

詳しく話を聞きたかったがどうやらアイが目覚めたみたいで電話を切った
まだ何となくうつろなアイ

子供を寝かしつけたであろうマナミが様子を見に来てくれた
何故マナミが居るのか分からないアイに
アイの携帯でマナミにかけたことを説明しマナミの提案に甘えた事を話した

すると大粒の涙を流すアイ
俺に手を伸ばす
強く強く抱きしめてやる

怖い思いをさせてしまった
アイの涙が後から後から溢れてくる
  
アイは何があったかを詰まりながらも全部話してくれた

あんな暗い場所を待ち合わせ場所にした俺が悪いんだ…
アイに会える嬉しさだけしか考えてなかった

明日からの事は俺がちゃんと考えようと今日はマナミの家に泊まることにさせてもらった

結局俺は何をしてやれるんだ?
こうやって抱きしめることしかできないのか?

「…アイ…ゆっくり休め…」

また眠りにつくアイに
「…愛してる…」
想いを伝えるだけしが出来ない俺…

何をやってんだ俺は…