ユウト5日目①

今日はアイに会えると思うと不思議な事に仕事がはかどる

加藤さんも復帰したみたいだし今日は定時にあがっていいと社長に言われた

『良かったなユウト!
今日はアイちゃんに早く会えるな』

「そりゃタカシが残業に付き合ってくれた事が大きいよ。
本当に感謝してるよ」

『まっ、また惚気話でも聞かせてくれよな』

「了解」



アイに定時に終わる事を連絡し片付けも早々と終わらせた

‥さてと行きますか!
車を河川敷に走らせる

‥アイが先に来てそうだなぁ
アイがいつも車を止めてある場所の近くに車を止める
アイの車を覗くがエンジンがかかったままいない

‥どこに行ったんだ?
河川敷は真っ暗でよく目を凝らして周りをみる
土手を走る車のライトで人が見えた

‥んっ?
人が人を担いでる?
何をして‥‥えっ?!‥‥!!!!!

「‥‥アイっ!!」
まさしくアイが担がれていた
俺は慌ててそばに走っていきアイを担いでいる男の腕を掴んだ
こっちを見た男は五十代ぐらいだろうか?
見たことがない男だ

アイは気を失ってる
「アイに何をした!アイを離せっ!」

するとその男はフッと笑い
【‥あー‥最近アイの周りでウロチョロしてるやつだな】
アイと呼び捨てにする男‥何者だ?

「アイをどこに連れていくんだ」

【どこ‥って‥自分の女をどこにつれて行こうがお前には関係ねぇよな】

「はぁっ?お前の女だと?」
掴んだ腕に力をいれた

【アイタタた。そうだよ俺の女。
最近お前に近寄ってこられて迷惑だって言ってたから、今日ハッキリさせようと思ってね。】

「嘘をつくな!」
俺は怒りが込み上げて更に掴んだ腕に力が入る

【離し てくれる?
バツイチのくせに40にもなって若い男に入れあげてさぁ…お仕置きをしようと思ってね】

そう言うと担いでいたアイをその場に投げ捨てた

「アイっ!!!!」
俺は駆け寄りアイを抱き上げた

その瞬間"ドカッ"
「うっ‥‥!!‥‥っつ!」
背中に激痛が走る
どうやら思いっきり蹴られたらしい

「何を‥‥っ!!!」
もう一度蹴られた俺は完全にキレた
話してすむ相手じゃないことを悟り、アイを少し離れた場所で寝かせた
よくみると口から血が流れている
「アイ‥可愛そうに‥ちょっと待っててくれよな」
来ていたダウンを脱ぎアイに掛けてやる

俺は振り抜き一目散に男に向かって走り出し思いっきり殴った
相手も抵抗しようと殴り返してくるが今の俺の怒りは半端な物じゃない
我を忘れて殴って殴って殴り倒していた

この男もさすがに俺がこんなに殴ると思わなかったのだろう
自分には敵わないとでも思ったのだろうか
最後には【すみません】と土下座した

しかしアイが殴られた事に怒りが収まらない
更に胸ぐらを掴み殴ろうとしたがアイを早く暖かい場所に連れていってやりたかった

「おまえの名前は」

【小川です。すみませんでした】
震えた声でまた土下座した

「何でアイを知っている!」
小川はアイを職場で見た時に一目惚れし買い物に通った。
毎日買い物に通った事でアイに覚えてもらい会話するようになった。
まだその頃のアイは結婚していたので話が出来るだけで良かった。
しかし段々自分の気持ちが大きくなり抑えられなくなり遂に探偵まで雇ってアイの事を調べた。
するとアイが離婚した事を知りそこからストーカーまがいの事をし出した。
今日もアイの事を付けてきたら誰もいない河川敷で一人になったのでチャンスだと思ったらしい。

「免許証だせ」
免許証を出す小川。
すかさず免許証と小川と小川の車の写メをとり

「次は携帯を出せ!!」
素直に出す小川。
案の定アイの隠し撮りがビッシリだった。
俺はそれも写メし消させた

「さっさっと俺らの前から消えろ!!
二度とアイに手を出すなっ!!」

「どうもすみませんでしたっ」
もう一度土下座し逃げ帰る小川。

俺はアイの元へ駆け寄り抱き上げる。
いくらダウンを掛けていたとはいえ真冬の夜の河川敷
身体が冷えきっていた。

しっかりと抱き締めアイの車に乗り込む
ヒーターの掛かった車内、俺と飲もうしてくれていたであろうコーヒーとミルクティーはぬるくなっていた。

アイを寝かし近くの水道でタオルを濡らしアイの頬に当てる。
「すまないな…アイ…こんなにさせてしまって…」
またギュと抱きしめてやる

しばらくそうしていたがアイは目をさまさない
「…さて…どうしたら…」
このままの訳にもいかないしアイのアパートもハッキリとどこかは分からない。

しばらくどうするかを考えていると
「あっ!そうだ!」
俺はアイのバッグから携帯を出し電話をかけた