出逢い①

「ハァ〜…」

仕事の休憩中弁当を半分まで食べた俺は無意識の内に大きなため息が出ていた

『ユウトどうしたんだよ
大きなため息なんかついて
美香ちゃんと何かあったのか?』

一緒に弁当を食べていたタカシが唐揚げを頬張りながら聞いてきた
タカシとは同期で歳も同じと言うこともあり入社後すぐに仲良くなった

タカシには何でも相談していた
またタカシも俺に何でも相談してくれた

そして美香とは俺の嫁

『この前さ美香ちゃんとケンカしたとか何とか言ってなかったっけ?』

つい2、3日前だったかそんな話をした
美香とは結婚3年目で子供も3歳の男の子が一人いる

付き合ってる時はそれなりに好きだったが大恋愛って言う訳でもなく出来たから結婚し
それが当たり前だと思ってた

子供が出来たすぐはお互い初めての事で何とか乗り切ってきたが子供が3歳にもなると余裕が出て来たのか俺の行動にまで口出ししてきた

ー何時に帰ってくるの?
ーまた残業?
ー休みの日ぐらい子供の面倒みてよ
こんなのは毎日だった

職場に着いたら着いたの報告
仕事が終われば終わったの報告
帰るのが五分でも遅ければ何をしていたのかどうしてそうなったのかと問い詰められる


正月に県外で働いている高校の同級生が帰ってきたとき仲のよいメンツと飲む事になった
年に一回か2回しか会えない友達との再開を楽しみに飲み会に行くと言った途端に機嫌が悪くなり

ー何で飲みに行くの?
ご飯食べるだけじゃダメなの?
九時までには帰ってきて
三千円以上使わないで
私が送り迎えするから

挙句の果に
ー飲みに誘ってくるような友達なんて縁切ったら

さすがの俺もキレた
大喧嘩になったのは言うまでもない
その日から更にまた口うるさくなった

もううんざりだった
疲れていた
誰かに癒やされたかった
温かく包んで欲しかった

そんな事をタカシに愚痴った
『誰かみつけりゃいいじゃん』
タカシは簡単に言った

「お前なぁそんなに簡単に言うけど
家と職場の往復でコンビニ行くのでさえブツクサ言われるんだぜ
そんなに簡単にうまくみつかるワケないよ」

俺は一生家にイヤ嫁にしばられたままこのままなんだって諦めていた
もし居たとしても妻子持ちの俺に興味なんてないだろうと…

しかし居た
それはすぐそばにいた
まさか一目惚れするなんて思いもしなかった



「見つけたんだよ」
『えっ?何を?』

「だからお前が誰か見つけろって言ったじゃねえかよ
だから見つけたの!」

『えっ(´⊙ω⊙`)マジで??』
「マジで…俺…一目惚れした』

『どこで見つけたんだよ!
声かけたのかよっ!!
何歳の人なんだよっ!』
興奮するタカシが質問を畳み掛けてくる

「まぁ落ち着け、落ち着けって」
俺は興奮するタカシに昨日の出来事を言うことにした