2日目②
病院は祝日のせいもあって凄く静かで私達の足音だけが響いていた
久しぶりに会った伯母は鼻に管を通され
スナックのママをしていた頃のハツラツとした姿はどこにもなかった
痩せ細り目だけがギョロッと大きく開いていて声も出ないようだ
私はそばに寄り手を握り
『伯母ちゃん、アイだよ!分かる?』
伯母は私の手を弱々しく握り返してきた
どうやら分かってくれたらしい
妹も伯母の姿にビックリしたのか手をいつまでも握りしめていた
しばらく声の出ない伯母に話しかけたりしていたがお昼ご飯の時間になり病室をあとにした
そして叔父と合流しお昼を食べにス○ローに行った
叔父の奢りということもあって遠慮なくたくさん食べた
『お昼ご飯食べたから今から叔父の引越祝い行ってくるね!
ユウトは何してるの?』
L○NEしてみる
「おつかれさま!
俺はアイちゃんの写メ見てたよ♡」
今朝送った目だけの詐欺写メを見ていてくれたらしい
…あーもうイチイチ嬉しすぎんだけど…
どうしよう…会いたいなぁ
ユウトがどんどん私の心を占めてくる
叔父は住んでいたマンションが老朽化のため引っ越しさせられたらしい
明るくて広くて綺麗なマンションにビックリした
叔父も離婚して一人だが色々なイベントに参加したりボランティアをしたりと充実しているようだ
そんな話を聞きながら引っ越し祝いをした
叔父も嬉しそうだった
あっという間に夕方も六時を回り叔父のマンションをあとにした
アパート送ってもらいユウトにL○NEしてみる
『用事終わったよ~
アパートに帰ってきたよ』
返事はすぐに来なかった
お昼にご馳走してもらったお寿司や叔父の家で食べたお菓子やらでお腹が満たされていた私は
一日動き回ったこともありコタツでテレビを見ながらうたた寝していた
夜8時を過ぎた頃
「アイちゃん返事遅くなってごめんね(>_<)
今、電話出来る?」
ユウトからL○NEのメッセージがきた
『ちょっとうたた寝してた
電話大丈夫だよ♪』
そう返信するとすぐさまかかってきた
『もしもし』
「もしもしおつかれさま♪
アイちゃん寝てたのにごめん
今、ひとり?」
『うんひとりだよ
ユウトはコンビニ?』
私との電話のためにコンビニに行くと言ってくれたに違いない
「あのさー会いたいな」
『えっ?今から?!』
ユウトの思いがけない言葉にビックリした
「そう!今から!
会いたくて会いたくて我慢出来ない!
10分ううん五分でもいいから会おう?」
『家は大丈夫なの?』
「大丈夫!だから…お願いだから会って…」
ユウトの切ない声がたまらなく愛おしく感じ会いたくて会いたくて仕方ないのは私なのだと気付く
『分かった!今から会おう!』
「ホント?ほんとに?
やったー♪♪♪
今からすぐに向かうから!」
私もすぐに支度をし待ち合わせの河川敷に急いで車を走らせた
どうやら私が先に着いたようだ
河川敷は暗くて誰も居ない
土手を走る車のライトがかろうじて唯一の光だった
コンコン♪
車の窓を叩く音の方を見るとユウトだった
ユウトはドアを開けると乗り込んできた
…ドキドキ…
心臓が今にも破裂しそうなぐらい緊張した
「おつかれさま
またせてごめん」