ユウト2日目③

『ううん、私も今来たとこだよ』
運転席に乗っていたアイ
助手席に乗り込んだ俺
微妙な距離がもどかしい

なぜかアイは前を向いたままだ

「ねぇ、後ろに行かない?」
もどかしい距離に我慢できず後部座席に移動した

…なんだろう?
なんて言うのかこの優しい雰囲気…
ただそばに居るだけであったかいと言うか落ち着くと言うか癒やされる
居るだけで安心出来るなんて初めてだ

俺はアイをもっと感じたくてぴったりとそばにくっついた

…ん?それにしても何で前向いて固まってんの?

「アイちゃん!何で前ばっかり向いてるの? こっち向いて?」
顔を覗きこんでみる

『うわっっ』
かなりビックリしたのか叫ぶアイ

「うわって人を化け物みたいに(笑)」

『だって恥ずかしいんだ…もん』
…うっ!かっ可愛いっ!!
可愛すぎるじゃないか!!
照れてるんだ
だから固まってるのか
絶対また真っ赤な顔してるんだろうな

「だって真っ暗なのに? せっかく会えたのにアイちゃんの顔がみたいなぁ」
真っ暗と言う言葉に恥ずかしさを隠せると思ったのかユックリこっちを向くアイ

土手を走る車のライトは割と明るく
アイの顔が真っ赤になってるのがハッキリ見えた
しかしアイのキリッとした大きな目は少し潤み俺をジッと見つめる
それが可愛さの中に妙にエロさを醸し出している

その目に今度は俺が固まってしまってる
…俺までも緊張してしまう
ダメだアイちゃんの緊張とかないと!

固くなった自分を落ち着け微笑んでみる
「アイちゃん暗くても真っ赤になってるのが分かるよ 緊張してる?」

図星だったようで更に目を大きくさせた

「何でそんなに可愛いかなぁ?
あっ!! そう言えば次に会った時にぎゅってしてくれるって 言ったよね?」
アイの言葉を思い出し非常に嬉しくなった

…でもこんなに緊張してるアイちゃんからぎゅっなんて無理そうだな
うーん…でも俺が抱きしめたいんだよ

戸惑いをみせるアイ

「ほら!大丈夫だから!!おいで?」
アイを安心させてやりたくて自分から手を広げて胸をトントンと叩いた
「ここにおいで」

アイは何も言わず胸にすっぽりおさまった
…うわぁ何でこんなにちっちゃいんだ?!
めっちゃ柔らかくてそれにメッチャいい匂いがするし…
ヤベッ、ドキドキしてきた

自然とギュと強く抱きしめてしまう
固かったアイの身体は安心したみたいで俺に全身を預けてきた
そして俺の胸に耳を当てる
…更にドキドキするんですけど

『ユウトもドキドキしてくれてるの?』
…そうだよ

「うん! だってさ大好きな人が自分の腕の中に居るのにさ緊張しない訳がないよ
アイちゃんが大好きで大好きで仕方がないんだ
友達からなんて嫌だ…俺の彼女になって?」
自分のありったけの想いを込め更にギュっと抱きしめた

『ユウト…苦しいよ…』
強く抱きしめ過ぎたようだ

「ごめんっ!キツく抱きしめ過ぎた!」
少し腕を緩めたが離してなんてやらない
ずっとこのままで…

アイは俺を見上げて
『ユウトの彼女にして下さい…』
と…

…!!!
「ほんとに?ほんとに??」
頷くアイ

「ハァ…夢じゃないよな?
俺、アイちゃんのことホントにホントに大事にするから 俺の事だけ見て」
…俺…泣きそう

「アイ…って呼んでいい?」
『うん…』
ギュと抱きしめ返してくれるアイ
…もうダメだ
もっともっとアイを感じたい…

「アイ…こっち向いて俺を見ろ…」
顔を上げて切なげに見るアイにもっと触れたかった

俺は身体を離すと
「キスしていい…? でもアイが嫌なら嫌がる事はしない」
…いきなりすぎたか?

『嫌じゃないよ…だから…して欲しい…』
……俺の気持ち分かってくれたんだ

そっと顔を近付けた
緊張してるアイは愛おしくて可愛くて触れると壊れるんじゃないかと
最初はオデコにそっと軽く、そして頬に軽く口付ける
…もっと欲しい

最後に唇に優しく触れる
…ヤバイ…ただ触れただけなのに何でこんなにも満足なんだ?

アイの唇は柔らかくて気持ちがよくてずっと触れていたい
「これ以上進むとアイを壊してしまいそうで怖い 本当に大事にしたいんだ」
…本当に壊しそうなんだ

『ユウトになら壊されてもいいよ…
だからもう一回…キスして…』

…!!!!!!!!!
「…っ!」
…だから可愛すぎるんだよ!!
もう止められないからな!
壊してしまっても知らねぇぞ!!
優しくなんて出来ねえよ

荒く抱きしめ逃げれないように頭の後ろを押さえ唇を重ねた
…一回じゃ足りない
何度も何度も重ねる

『…んんっ…』
アイの口から漏れる声…

「そんなエロい声出さないで…帰したくなくなる…
我慢出来なくなるから…
ホントに壊してしまいそうになるから…」
…いっそ壊してしまえたら
全部俺のものにしてしまいたい
好きになりすぎて胸が痛い

「次に会った時はごめん我慢出来ないかも…
覚悟しといて(笑)」
もう一度強く抱きしめアイの身体の形、匂い、柔らかさを焼付けた

…これ以上居たら嫌がる事をしてしまいそうだ
大事にするって決めたんだ

『会いにきてくれてありがとう 大好きだから…』

「また連絡するから俺の事だけ考えてろよ
おやすみ」
自分の車に乗り込むと涙が出た…
…愛してるんだ
どうすればもっともっとソバにいれる?
どうすればもっともっと愛してやれる?

…アイ
どこにも行くなよ
俺のそばにいろよ