ユウト3日目⑤

アイを見送り自分の車に乗ると携帯が着信を知らせるランプが点滅していた

確認すると美香から10回…イヤ20回は軽く着信があった
タカシからも5回鳴っていた

メールも開いてみる
『はっ?残業って何?
断れないの?ってか断ってよ』
案の定美香からのメールの内容

『…ハァー…』
幸せな気持ちだったのが一気に地獄に突き落とされた気分だ
まずタカシに電話した

『もしもし!ユウト!やっと出たくれたよ〜』

「おつかれ!今日はすまなかったな
タカシのお陰でアイにすぐに会えたよ
ありがとう」

『それは良かったよ
けどな…お前が帰ったすぐ後に美香ちゃんから会社に電話かかってきたぜ』

「…はっ?…マジかよ」

『たまたま電話の直ぐ側にいたのが俺だったから出たらさ美香ちゃんだったんだよ
ユウトにメールしたけど返事ないって電話にも出ないって…』
会社に電話まで…ってどこまで俺を監視すりゃいいんだ?
怒りがこみ上げる

『今、ちょうど手を離せない大事なとこ塗ってるからって誤魔化しといた』

「タカシ本当にすまない!!今度メシ奢る!」

『それより早く家に帰れよ。メシ楽しみにしとく』

俺は怒りを押さえられず家に急いだ

家に入ると美香がさっそく
『何時だと思ってるの?
何でメールも電話も出ないの?
残業断れって言ったよね?
そんな職場辞めたらいいのよ!!
タカシくんとの付き合いも考辞めてくれる?』

俺の中の何かがキレた

「うるさいっ!!!!!!」
自分でもビックリするぐらいの怒鳴り声
「お前いい加減にしろよ!俺を監視して何が楽しいんだ!!!
何が会社辞めろだ?何がタカシとの付き合いを辞めろだ?
お前との結婚を辞めてやるよ!!」
カッとなり一気にまくしたてた

美香は俺がそんな風に怒鳴るだなんて思っても見なかったのだろう…
口をあんぐり開けたまま突っ立っていた

「とにかくこれからもお前の指図は受けない」
冷たく言い放ち自分の部屋に入る

「………アイ…」
こんな時でもアイの事しか頭に浮かばない
ふと服からアイのニオイがする

…今すぐ会いたい
…声が聞きたい
…触りたい
…抱きしめたい

…アイ…俺とずっと一緒に…

そんな俺の気持ちを美香は見逃すわけもなく動き出していた